海外ニュース:膵癌の幹細胞伝達経路阻害剤(Napabukasin)の臨床試験が進む
がん幹細胞の自己再生能力を阻害する新薬を追加すると、転移性膵がん患者の生存率は向上するか?
膵臓がんの標準化学療法であるGA療法(ゲムシタビン+ナブパクリタキセルGemzar+Abraxane)にがん幹細胞を阻害する新薬(ナパブカシンNapabukasin)を組み合わせた臨床試験が進んでいる。
膵臓がんの標準化学療法であるGA療法(ゲムシタビン+ナブパクリタキセルGemzar+Abraxane)にがん幹細胞を阻害する新薬(ナパブカシンNapabukasin)を組み合わせた臨床試験が進んでいる。
ASCO 2017第53回米国癌治療学会は、6月2日から6日の間、シカゴのマコーミックプラザにおいて開催された。この記事は膵臓がんの臨床試験に関連したダイジェストである。
標準化学療法レジメンに試験薬を加えることにより、転移性膵臓癌患者のサブグループは、標準治療を受けた患者と比較して、がん進行を有意に遅らせる効果があったと、フレッドハッチンソン癌研究センターの治験責任医師Sunil Hingorani氏は語った。無作為化対照試験では、腫瘍に多量の標的分子が含まれている参加者に実験的治療法を与えた場合、標準化学療法のみを受けた対照群の参加者よりも無増悪生存期間(PFS)が4ヶ月延長された。Hingorani氏は、2017 ASCO年次総会(要約4008)で研究結果を発表した。この結果は、昨年開かれた世界的なフェーズIII試験にペグ化組換えヒトヒアルロニダーゼ(PEGHH)と呼ばれるこの試験薬を入れたことが正しかったことを証明したと述べた。
2017年3月23日
■プレシジョンメディシン
「プレシジョンメディシン」という言葉を聞いたことありますか。
簡単に言うと、プレシジョンメディシンでは、患者は自分の膵臓がんの特徴、分子プロフィールにあった治療を受けるということです。膵臓がんを生検して解析してみると、すべての膵臓がんが似ているわけではないことがわかります。つまり、あたかもひとつのがんのように扱われるべきではないのです。
2016年5月24日
Merrimack社は、イリノテカンリポゾーム注射液(商品名:Onivyde)+フルオロユラシル (5-FU)+ロイコボリン併用療法が2016年版NCCN診療ガイドライン(2016 NCCN Clinical Practice Guidelines in Oncology)に、ゲムシタビン耐性の進行膵がん患者さんのセコンドライン治療として表記されたと発表した。この併用療法は、エビデンスレベルが一番高い「カテゴリー1」が与えられている。「ゲムシタビンを使用した治療に耐性ができた患者のための唯一のFDA承認を受けた治療法として、治療法が限られた患者のアンメットニーズに答えるものである」とMerrimack社のスポークスマンは語った。
2017年3月23日~24日に、パンキャン代表ジュリー・フレシュマン氏は、権威あるヘルスリサーチアライアンス(HRA)の春季会において、パンキャンは、2020年までに患者の生存率を2倍にするという組織の目標を達成するために、「プレシジョンプロミスsm」臨床試験を開始すると発表した。これは膵臓がん患者のために個別化された治療法の開発を進めるためにデザインされた大規模臨床試験で、腫瘍の分子プロフィールをもとにして患者は複数の治療グループに分けられる前例のない試験である。「膵臓がんの治療成績を改善するためにはこの試験は不可欠です。」とパンキャン代表ジュリーフレッシュマン氏は述べた。さらに「パンキャンは臨床試験のために患者を探すのではなく、 個々の患者に適した臨床試験をデザインします。」と説明した。
Unprecedented approval of Keytruda based on molecular characteristics dMMR of patient tumor
2017年5月23日
米国FDAは、ミスマッチ修復(Mismatch Repair: MMR)に欠損がみられる進行膵臓がんを含む固形がんのファーストライン治療薬として、ペンブロリズマブ(商品名:キイツルーダ)を前例のない迅速な審査にて承認した。ペンブロリズマブは米国FDAにより「効果予測腫瘍マーカー(predictive tumor marker)をもとにして承認された初の医薬品となった。この免疫チェックポイント阻害薬の研究をすすめたジョンズホピキンス大学のBert Vogelstein氏 (Ludwing Center at the Johns Hopkins Kimmel Cancer Center)は、「これは個別化免疫療法の最初のケース。特定の免疫療法が腫瘍の遺伝的特性によって推奨できるようになった。もし患者の腫瘍にミスマッチ修復欠損がみつかれば、患者の腫瘍の進行度にかかわらず、非常に高い確率で腫瘍はこの抗PD-1抗体薬に反応する可能性がある」と語った。