政策提言:核医学診療推進国民会議の創設
National Conference for Nuclear Medicine Theranostics
2016年12月1日
■核医学診療推進国民会議への参画理由
膵臓がんなどの難治がん、膵神経内分泌腫瘍などの希少がん患者さんとそのご家族の希望は、正確な診断法の確立と奏功する治療法の開発です。治療能力(Therapeutics)と診断能力(Diagnostics)の両方を兼ね備えた核医学診療(Theranostics)は、近年、欧米で実現された標的医療です。そのひとつが膵神経内分泌腫瘍(PNET)患者が求めるペプチド受容体放射性核種療法(PRRT)です。腫瘍細胞に発現する受容体に特定の物質が結びつく性質を利用して、ルテチウムLu177などの核物質からの放射線で治療します。神経内分泌腫瘍の治療として広く行われていますが、日本では受けることができませんでした。
世界で唯一原爆を体験した日本では核物質が厳しく管理されており、医療分野でも放射線障害防止法、医療法・薬機法などにより核物質の利用が規制され、一部は二重規制となっています。したがって、欧米の標準療法である核医薬品を用いた、より良い医療を実現するためには、核医学が直面しているさまざまな課題を解決する必要があります。そのためには、核医学に関する国民の理解を進める必要もあります。一般市民、国会議員や政府関係者に核医学に関する正しい情報を伝え、さらに、核医薬品の規制に関連する法律をこの時代に相応しいものに改善するために規制改革も必要です。核医学を取り巻く課題は、法的規制、RI管理、国際的な事情など、多方面にわたります。こうした課題解決を進めていくために、日本核医学会、日本アイソトープ協会、がんサポートコミュニティーとパンキャンジャパンは、日本初となる市民参加型アドボカシーをモデルとした「核医学診療推進国民会議」を2016年12月1日に設立しました。
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